ビジネスマネジャー検定 過去問&問題演習(第1回)

たくさんの本が広げられたままになっている画像 問題演習

ビジネスマネジャー検定の問題演習第1回です。

過去問を含む全40問を掲載しています。

正解と思う選択肢をクリックすると解説付きで正誤判定をすることができます。

<第1問(3点)>

「ジョハリの窓(Joseph Luft, Harry Ingham)では、自己の資質を、「開放の領域」(open area)、「秘密の領域」(hidden area)、「盲点の領域」(blind area)、「未知の領域」(unknown area)に分けて分析をする。
マネジャーは「ジョハリの窓」を活用し、自己が認識している自己の資質と他者が認識している自己の資質との関係性を検討することによって、より円滑なコミュニケーションと自己の成長に役立てることができる。
「ジョハリの窓」に関する次のア~エの記述のうち、その内容が適切なものの組み合わせを①~⑥の中から1つだけ選びなさい。
ア:従来、秘密の領域に属していた自己の資質を開示し、事故に対する他者の理解を得ることができれば、開放の領域は当然に広まる
イ:秘密の領域に属する資質は、他者との円滑なコミュニケーションを維持するためには開示しないことを要する資質であり、他者に感知されないように細心の注意を払う必要がある
ウ:他者からの批評や指摘により自己が知ることとなった、従来認識していなかった自己の資質は、自己が知ることとなった後は、開放の領域に属する資質となる
エ:従来、未知の領域に属していた資質を自己の資質であると認知することができた場合、この資質は、自己の資質であると認知することができた後は、盲点の領域に属する資質となる

  • ①アイ
  • ②アウ
  • ③アエ
  • ④イウ
  • ⑤イエ
  • ⑥ウエ

正解!

不正解...

正解は②アウです。

イについて、秘密の領域に関する資質は他者に開示しておらず、また他者から認識されていない資質である。
この領域に属する性質が多い場合、自己の意図や想いを他者から理解してもらえず、円滑なコミュニケーションをとりにくいことがあるため、自己開示により開放の領域を広げることにより自己を他者によく理解してもらうことが円滑なコミュニケーションの構築には重要とされる。
この点、秘密の領域に属する資質は、他者との円滑なコミュニケーションを維持するためには開示しないことを要する資質であり、他者に感知されないように細心の注意を払う必要があるとする本肢は適切ではない。
エについて、未知の領域は、自己も他者も認識していない資質が属する領域である。
従来、未知の領域に属していた資質を自己の資質であると認知することができた状況では、当該資質は、自己は認識しているが他者は認識していないもの、つまり秘密の領域に属する資質となる。
この点、自己の資質であると認知することができた後は盲点の領域に属する資質となる本肢は適切ではない。
(第2章第1節参照)


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<第2問(2点)>

次のアおよびイは、マネジャーが部下等とコミュニケーションをする際における「言葉以外の要素」の重要性に関する記述である。
これらの記述について、その内容が適切であれば①を、適切でなければ②を選びなさい。
ア:髪型、衣服、持ち物といった外見や身だしなみは、相手に対し強く自己を印象付けることがある。
そこで、マネジャーは、部下をはじめ周囲の人から見られていることを常に意識し、信頼に値するような外見や身だしなみを心掛ける必要がある。
イ:一般に、人は、対面の相手との距離が近づけば近づくほど、その相手に対する親密度が高まるという心理が働く。
マネジャーは、この心理の働きを理解し、部下と一対一で話をするに際し、安心感を持って自分の話を聞いてもらいたいときなどには、極力近い距離で真正面に向かい合い、互いの視線の高さを同じにするなどの工夫をすることが重要である。

  • ア①イ②
  • ア①イ①
  • ア②イ①
  • ア②イ②

正解!

不正解...

正解はア①イ②です。

アは適切である。
イについて、一般に、人は他人に近づかれると不快に感じる空間(「パーソナルスペース」)を有している。
コミュニケーションに際しては、相手や状況によって、相手との距離、角度、視線の高さを工夫することが大切である。
(第3章第1節参照)


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<第3問(2点)>

マネジャーの役割に関する次のアおよびイの記述について、その内容が適切であれば①を、適切でなければ②を選びなさい。
ア:マネジャーは、会議において、ファシリテーターとしての役割に従って会議の参加者同士の話し合いを促進する場合、参加者間で多様な意見が出されると収拾がつかず会議の進行および目的達成に支障を生じる恐れがあるため、参加者から多様な意見が出されている議題については、少数意見を述べる参加者に対し、多数意見に同意するように命じなければならない。
イ:マネジャーには、チームメンバー全員に働きかけて、チームの目標達成に向かおうとするエネルギーを生み出すことが求められる。
マネジャーは、チームとしてのエネルギーを最大化するために、部下とのコミュニケーションを図り部下のモチベーションを高める必要がある。

  • ア①イ②
  • ア①イ①
  • ア②イ①
  • ア②イ②

正解!

不正解...

正解はア②イ①です。

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<第4問(2点)>

部下のマネジメントに関する次の①~④の記述のうち、その内容が最も適切なものを1つだけ選びなさい。
①マネジャーは、部下に業務報告をさせるに際しては、部下に対し、「実際に生じた具体的な事実」を報告するよりも、「部下自身の過去の経験に基づき部下自身がどのように感じたかという主観的な感想」を優先して報告するように指示するべきである。
②マネジャーは、部下に対して具体的な業務の進め方を指示するに際しては、部下が事故の担当する業務についての「目標」を持つように意識付けをし、部下が目標達成に必要となる事故の業務の進め方を自ら考え、部下自身の業務計画を作成できるように指導することが重要である。
③マネジャーは、部下に対して注意を与える場合は、当該部下の同僚を通じて間接的に当該部下に注意事項を伝えるべきであり、直接当該部下本人に対して注意をしてはならない。
④マネジャーは、部下からの報告をface to face(対面)によって受けることとすれば、当該報告を受けるためにマネジャーのスケジュールを調整する必要があり、当該スケジュールの調整のための労力を省く観点から、face to face(対面)による報告を受けることは避け、部下からのマネジャーへの報告は、電子メールのみによることを徹底して部下に指導すべきである。

正解!

不正解...

正解はです。

②は適切である。
①について、部下からの報告は、事実と主観的な感想を明確に分け、何が起きたかという事実の報告を優先するよう指示すべきであるため、適切ではない。
③について、部下に対する注意は、基本的に直接本人に対して行うべきであるから、適切ではない。
④について、部下からの報告を電子メールのみによることとすれば、文章だけでは把握できない情報が伝わらず重大なアクシデントに発展することがあるため、適切ではない。
(第4章第2節参照)


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<第5問(3点)>

甲社営業部の部長Aは、「PM理論」(三隅二不二)に基づき、A自身による自己評価と、Aの部下である営業部員による評価から、事故のリーダーシップのタイプを分析したところ、Aの現時点におけるリーダーシップの対応は、Pm型であるとの結果を得た。
一般に、PM理論に基づく分析によりPm型とされたマネジャーが、自らのリーダーシップのタイプをPM型へと改善するのに資する事項を次のア~エから選択した場合の組み合わせを①~④の中から1つだけ選びなさい。
ア:部下一人ひとりに対し真摯に対応し、すべての部下を公平に扱う。
イ:部下のおかれた状況や業務に対する意識等を理解するため、部下との面談を定期的に実施する。
ウ:マネジャー自身の業務スキルの向上のため、業務に関する専門的知識の修得に専念する。
エ:チーム全体の営業目標達成のため、個々の部下の営業目標の達成度について厳格に追求し、その達成を厳しく指導する。

  • ①アイ
  • ②アウ
  • ③イエ
  • ④ウエ

正解!

不正解...

正解は②アウです。

PM理論では、リーダーシップのタイプを4種類(PM型、Pm型、pM型、pm型)に分類する。
Pm型は、明確に掲げた目標達成に熱心で部下に対する厳しい指導もいとわず成果をあげる能力はあるが、部下に対する配慮は示さず集団をまとめる力が弱い、成果はあげるが人望がないタイプとされる。
一般に、PM理論に基づく分析によりPm型とされたマネジャーが、そのリーダーシップのタイプを最も理想的であるPM型へと改善するのに資する事項は、アおよびイである。
(第4章第3節参照)


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<第6問(3点)>

甲社企画開発部のマネジャーAは、新規製品の販売促進企画に関する会議を開催するにあたり、ブレーンストーミングの手法(Alex Osborn)を用い、会議の参加者からアイデアの提出を促すことにした。次のア~エの記述のうち、一般にブレーンストーミングを効果的に実施する観点から適切なものの組み合わせを①~④の中から1つだけ選びなさい。
ア:自分が保有している複数のアイデアのうち、自分が最も優良であると考えるアイデアのみを提案する。
イ:誰でも思いつきそうなありふれたアイデアであってもできるだけ数多く提案する。
ウ:例えば、ある参加者により提案されたXアイデアが、すでに別の参加者が提案したYアイデアと類似している場合に、他の参加者は、Xアイデアを却下し、類似あるいは重複したアイデアが提案されることを防止する。
エ:他の参加者が提案したアイデアに便乗して、当該アイデアを発展させた発想を提案する。

  • ①アイ
  • ②アウ
  • ③イエ
  • ④ウエ

正解!

不正解...

正解は③イエです。

一般に、ブレーンストーミングでは、次のような事項が重要と考えられている。
・「できるだけたくさんのアイデアを出すこと」
・「他の参加者のアイデアを批判しないこと」
・「重要ではなさそうに思えるアイデアも自由に提案すること」
・「他人のアイデアに便乗したり、他人のアイデアを結合することも歓迎すること」
したがって、イとエが適切である。
(第3章第2節参照)


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<第7問(3点)>

次のア~ウの記述は、A社の部長Xが、新任のマネジャーYに対しマネジャーが持つべき心構えについて述べた発言の一部である。
これらの発言のうち、マネジャーが持つべき心構えとしてその内容が適切であれば①を、適切でなければ②を選びなさい。
ア:マネジャーは、普段の何気ない表情や態度、姿勢などから、多くのメッセージを周りの人に発信していることを認識し、自分の何気ない表情や態度、姿勢などが、相手に不快感や不安感を与えていないか、また自分のどのような表情や態度、姿勢などが相手に好感を与えるのかをよく心得ておく必要があります。
イ:マネジャーは、例えば、マネジャー自身が作成した高度な知識を要する仕事に関する文書を、会議スペースなど部下の目に留まるような場所にさりげなく放置することなどにより、自分は部下の理解を超える仕事をしているということを部下に示すことが重要です。
ウ:マネジャーは、チームの中で最も多忙で、かつ熱心に職務を遂行している存在であることを部下に認識させなければなりません。
その方法として、休業日であってもあえて出社し、休む間もなく業務に打ち込んでいる姿勢を部下に示すことが重要です。

  • ア①イ①ウ①
  • ア②イ①ウ①
  • ア②イ②ウ②
  • ア①イ②ウ②

正解!

不正解...

正解はア①イ②ウ②です。

アは適切である。
イについて、仕事に関する文書を放置することは適切ではない。
ウについて、休業日に出社することは長時間労働の防止の観点から適切ではなく、また、部下がマネジャーに気兼ねして休日労働をすることとなれば法定労働時間(労働基準法32条)との関係においても適切とはいえない。
(第1章第2節参照)


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<第8問(2点)>

メタ認知に関する次のア~ウの記述のうち、その内容が適切なものを〇、適切でないものを×とした場合の組み合わせを①~⑥の中から1つだけ選びなさい。
ア:メタ認知の「メタ」には「高い次元」という意味があり、自分を見つめるもう1人の自分がいるという意味で、メタ認知は「認知の認知」と呼ばれることがある。
イ:メタ認知は、自己の認知活動の状態を判断するためにこれまでに蓄積された知識であるメタ認知的知識と、その知識に基づき認知活動をコントロールするメタ認知的活動から構成される。
ウ:メタ認知は、与えられた仕事と自分の能力とを検討し、どのような行動をとればよいかを適切に判断したり、目標を達成するために取り組むべき課題を選定しその達成手順を適切に設定したりするといった場面で機能する。

  • ア〇イ〇ウ〇
  • ア〇イ〇ウ×
  • ア〇イ×ウ×
  • ア×イ〇ウ〇
  • ア×イ×ウ〇
  • ア×イ×ウ×

<第9問(3点)>

マネジャーが、上司や、取引先等といった外部とコミュニケーションを図る際に留意すべき点に関する次のア~ウの記述のうち、その内容が適切なものを〇、適切でないものを×とした場合の組み合わせを①~④の中から1つだけ選びなさい。
ア:マネジャーは、自己の業務に関係する取引先や業界団体、官公庁の担当者など、様々な外部の人々と関わりを持つが、特に監査官庁の担当者や関係する官公庁の担当者に対しては、接待を行い、自社の業務が円滑に進行するように調整することが必要である。
イ:マネジャーは、チームをマネジメントし、その担当する業務を完遂すべき立場にある。
したがって、マネジャーは、その担当する業務については、すべて自らの責任と判断の下に結果を出さなければならず、当該業務を完了するまでは、仮に上司による判断を求めたいことがあっても、その指示を仰いだり、助言を求めたりしてはならない。
ウ:マネジャーは、自己の業務に関係して、取引先や業界団体など、外部の人々とも関わりを持つ。
そうした関わりの中では、外部から、協力・支援を要請されることも予想される。
その場合、マネジャーは、相見互いの精神で、外部への協力を惜しむべきではない。
しかし、例えば、自社と同種の製品を販売する同業他社から、製品販売時の最低価格を設定しその維持の約束を持ち掛けられた場合には、これに決して応じるべきではない。

  • ア〇イ〇ウ〇
  • ア〇イ〇ウ×
  • ア×イ×ウ〇
  • ア×イ×ウ×

正解!

不正解...

正解はア×イ×ウ〇です。

アは適切ではない。
自社の監査官庁の担当者や関係官公庁の担当者に対して接待を行うことは、贈賄罪に該当し刑事罰を科されるおそれがあり、適切ではない。
イは適切ではない。
マネジャーは、担当業務に責任を負うが、上司による判断を求めたいことがあれば、その指示を仰いだり助言を求めることが必要である。
(第5章第2節参照)


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<第10問(2点)>

X社は、X社が新規に開発した製品aについて、Y社から、継続的な供給を受けたい旨の照会を受けた。
そこで、X社のマネジャーであるAは、製品aをY社に供給する際の条件等について、Y社との間で交渉を行おうとしている。
この場合に関する次の①~③の記述のうち、その内容が最も適切なものを1つだけ選びなさい。
①Aは、Y社からの照会を受けた後、直ちに、X社が希望する取引価格や発注から納品までにかかる時間(リードタイム)等の条件を電子メール等でY社に伝えることが重要である。
このような対応によって、Y社から、当該提示した条件等の内容に近い条件等が返ってくる可能性が高まるという、心理学上のブーメラン効果を期待できるからである。
②Y社から提示された当初の取引価格がX社として受容できない水準であった場合、Y社の妥協を引き出すための交渉方法の例としては、X社が希望する取引価格を提示し、当該価格を承諾しなければY社には製品aを供給しない旨を伝えてX社の条件を承諾するか否かの二者択一を迫る、という方法を上げることができる。
③Y社から提示された条件がX社として受容できない内容であったとしても、Aがその条件を拒絶すれば、Y社の心証を損ない本件照会が撤回されるおそれがある。
このような場合には、Aは、Y社の心証を損なうことを回避するために当該条件を承諾する旨の意思表示をする必要がある。
仮に、当該条件を承諾する旨の意思表示に基づきY社がX社に対し、当該条件に基づく合意内容の履行を請求してきても、X社が契約書に署名または記名押印をしていない限り契約が成立するとはいえないため、Aは、当該条件を承諾する旨の意思表示については効果が生じない旨を主張できる。

正解!

不正解...

正解はです。

①は適切ではない。
心理学上の「ブーメラン効果」は、例えば、交渉の相手方(説得される側)が、説得する側を信用していないときに、説得内容とは逆の意見を抱いてしまうような現象である。
③は適切ではない。
当事者が契約書に署名または記名押印をしていない限り契約が成立することはないとしているが、民法の原則によれば、契約は取引当事者の意思が合致したときに成立するとされている。
したがって、契約書への署名や記名押印がなくても、契約の成立が認められることがあり得る。
(第5章第3節参照)


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<第11問(過去問)(3点)>

A社の人事課長Xは、新規に人事課に配属された、業務経験の少ない若手従業員Yを育成する手法の1つとして、OJT (On the Job Training)を活用することとした。
XがYを育成する目的で実施した次のア~エの施策のうち、OJTに該当するものの組み合わせを①~⑫の中から1つだけ選びなさい。
ア:Yを含む人事課の若手従業員をミーティング・ルームに集合させ、人事課の業務に関する理解を深めさせるために、勉強会を実施した。
イ:社会人一般に求められるビジネスマナーを習得させるため、企業の若手従業員一般を対象とするセミナーをYに受講させた。
ウ:A社の人事課の担当業務である若手従業員を対象とするセミナーを実施するに際し、当該セミナーの運営スキルを習得させるため、セミナー運営に関する業務プロセスの一部をYに担当させた。
エ:人事課のスタッフとして求められる一般的なスキルを列挙し、Yがそれらのスキルを習得するため教育計画を策定した。

  • アイ
  • アエ
  • イウ
  • ウエ
  • アイウ
  • アウエ
  • イウエ
  • アイウエ

正解!

不正解...

正解はです。

OJT (On the Job Training)は、職場で実際に仕事の実践を通じて業務に必要な知識、スキルなどを身に着ける人材育成方法を指す。
実際の業務を題材として、職場の上司や先輩から具体的な知識や技術が伝えられることで、マニュアルや研修等のみでは実践につなげることが困難な知識やスキルを身に着けやすいと考えられる。
本問において、A社の人事課の担当業務であるセミナーの運営スキルを習得させるためにセミナー運営に関する業務プロセスの一部をYに担当させる選択肢ウは、実際の仕事の実践を通じて業務に必要な知識、スキルなどを身に着けさせる人材育成方法であり、OJTに該当する。
OJTに対し、OFF-JT (OFF-the-Job Training)は、実務の場を離れて実施される研修などの教育施策を指す。
本問において、実務の場を離れて実施された勉強会やセミナーについての記述である選択肢アおよびイは、OFF-JTに関するものである。
人材の育成には、OJTとOFF-JTを適切に組み合わせて実施することにより、効果的な人材育成を実施することが重要である。
なお、選択肢エは、人材育成を実施するにあたっての教育計画に一環についての記述である。
(第6章第4節参照)


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<第12問(2点)>

為替相場の変動は、貿易に関わる企業だけでなく、貿易とは直接関係しない企業にも影響を与える。
次のア~カの記述のうち、為替相場においてアメリカ合衆国(米国)ドル(USD)に対して日本円(JPY)の価値が下落すること(円安化)によって生じ得る現象として適切なものの組み合わせを①~⑩の中から1つだけ選びなさい。
ア:日本企業が米国に有する販売拠点から得る円建てでの利益が拡大する。
イ:米国から来日する観光客数の増加の要因となる。
ウ:米国に製品等を輸出している日本季語湯が、輸出した製品の代金を円建てで受け取る場合の受取額が増加する。
エ:米国から日本に製品等を輸入している日本企業が、輸入製品の代金を円建てで支払う場合の支払額が減少する。
オ:米国への海外旅行が円建てで割安となる。
カ:日本の投資家が米国に有する資産が円建てで割安となる。

  • アイウ
  • アイエ
  • アイカ
  • アエオ
  • アオカ
  • イウオ
  • イウカ
  • ウエオ
  • ウエカ
  • エオカ

正解!

不正解...

正解はアイウです。

一般に、現在の基軸通貨である米国ドル(USD)に対し、日本円(JPY)が100円から120円になるなど、為替相場の円安化は、外貨建ての資産価値の上昇、輸出産業の好調化などをもたらす。
したがって、ア・イ・ウに記載された事項が、円安化によって生じ得る現象として適切である。

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<第13問(3点)>

マネジャーが業務をマネジメントするにあたり念頭に置くべきフレームワークであるPDCAサイクルに関する次のア~エの記述のうち、その内容が適切なものを〇、適切でないものを×とした場合の組み合わせを①~⑧の中から1つだけ選びなさい。
ア:PDCAサイクルの「P」すなわちPlan(計画)の段階で業務計画を立案するには、その前提として業務目標を設定する必要がある。
業務も苦行の設定にあたっては、部下がその達成のためにいかなる貢献をするかを考慮する。
イ:PDCAサイクルの「D」は、計画を実施する段階、すなわちDo(実行)の段階である。
業務計画に沿って、部下とともに計画を適切に実施する。
ウ:PDCAサイクルの「C」は、業務計画達成のために必要な実施事項をCheck(確認・評価)する段階である。
この段階で目標値の未達成が明白になっている場合には、その真の原因の探求を行う。
エ:PDCAサイクルの「A」の段階では、マネジャーは、実施した業務についてAct(処置と改善)を行って次の業務計画を策定するための資料とする。
これを参考にして、マネジャーは、次の業務計画で実施することを検討している事項が目標値を達成するために有効かどうか(因果関係)を点検・把握して、必要に応じて目標項目・目標値、もしくは実施事項を見直す。

  • ア〇イ〇ウ〇エ〇
  • ア〇イ〇ウ×エ〇
  • ア〇イ×ウ〇エ×
  • ア〇イ×ウ×エ×
  • ア×イ〇ウ〇エ〇
  • ア×イ×ウ〇エ〇
  • ア×イ〇ウ×エ×
  • ア×イ×ウ×エ×

<第14問(3点)>

マネジャーが、業務のマネジメントをする上で不可欠な考え方に、「MECE(Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive)がある。
次のア~ウの記述のうち、その検討事項が、MECEとなっているものを〇、MECEとなっていないものを×とした場合の組み合わせを①~⑥の中から1つだけ選びなさい。
ア:ショッピングモールを経営する会社が、新規出店を検討するにあたり、その候補地域として、都市部・市街地・郊外・寒冷地・温暖地に分けて検討する。
イ:化粧品メーカーが、13歳以上の女性を購買層とする製品を開発するにあたり、13歳以上の女性を成年・未成年・学生・社会人に分けてそれぞれのニーズを検討する。
ウ:携帯電話の通信事業者が、通信料金の設定にあたり、その対象を新規顧客、既存顧客・法人顧客・個人顧客に分けて検討する。

  • ア〇イ〇ウ〇
  • ア〇イ×ウ〇
  • ア〇イ×ウ×
  • ア×イ〇ウ〇
  • ア×イ×ウ〇
  • ア×イ×ウ×

正解!

不正解...

正解はア×イ×ウ×です。

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<第15問(2点)>

マネジャーが業務上の目標を設定する場合に関する次のアおよびイの記述について、その内容が適切であれば①を、適切でなければ②を選びなさい。
ア:一般に、目標のうち、計測や定量化が可能な事象に基づいて具体的・定量的に表現できる目標は「有形の目標」といい、具体的な数値を最終的に目指すべき目標値としてあらわすことが困難な目標であって、企業が持続的に存続・成長していくために必要となるものは「無形の目標」ということができる。
イ:マネジャーが、自チームにおいて達成すべき業務目標を設定するに際し、これまでチームで進めてきた従来の業務遂行方法を改善して初めて達成できるような目標を設定すると、新しい業務遂行方法にチームメンバーが習熟するまでに一定の期間を要し、目標を達成できないリスクが高い。
そのため、マネジャーは、従来の業務遂行方法を変えなければ達成できないような業績目標を設定することは避けなければならない。

  • ア①イ①
  • ア①イ②
  • ア②イ②
  • ア②イ①

正解!

不正解...

正解はア①イ②です。

アは適切である。
イは適切でない。
社会経済情勢は日々変化しており、従来の業務遂行方法に固執していれば、こうした変化に対応することができなくなるケースが生じ得る。
刻々と変化する社会経済情勢に対応する観点からも、従来の業務方法を変えなければ達成できないような業績目標を設定することを避けなければならないとするのは適切ではない。
(第9章第3節参照)


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<第16問(2点)>

マネジャーが理解しておくべき「ダイバーシティ・マネジメント(Diversity Management)に関する次の①~④の記述のうち、その内容が最も適切でないものを1つだけ選びなさい。
①障害者の雇用の促進等に関する法律は、一定の企業に、所定の人数以上の障害者の雇用を義務付けている。
マネジャーは、障害を持つ者も持たない者も含めた多様な人材によって構成される、すべてのチームメンバーの潜在能力を発揮させ、チームの生産性の向上や企業の成長等に貢献させるよう心掛けることが大切である。
②外国人の部下に対するマネジメントを行うにあたって、マネジャーは、同じ職場で同僚の業務に従事する日本人よりも外国人の賃金額が低いことに関し、労働基準法上、日本国籍を有しない者に対しては、最低賃金法に定める水準を下回る賃金を支払うことが認められていることを丁寧に説明することが大切である。
③高年齢者等の雇用の安定等に関する法律は、一定の企業に高年齢者雇用確保措置を義務付けている。
当該措置の1つに、現に雇用している高年齢者が希望すれば定年後も当該高年齢者を雇用する制度である継続雇用制度があり、マネジャーより年長のものが部下として配置されることもあり得る。
マネジャーは、人間は一般に、加齢とともに、身体的な機能、記憶力や認識力等が低下し、特に記憶や認識機能の低下により錯覚や不注意などが生じることがあり得ることを念頭に置き、すべてのチームメンバーの有する経験、知識、能力がいかんなく発揮されるよう職場環境を整えることが大切である。
④ダイバーシティの実現にあたり、マネジャーが心掛けるべき事項の1つにLGBTQ(Lesbian, Gay, Bisexual, Transgender, QueerやQuestioning)に対する配慮がある。
LGBTQの就労をめぐっては、偏見や差別をおそれ、職場においてLGBTQであることを打ち明けることに困難を感じる者が多いため、身近にLGBTQの存在が認識されがたく、偏見や誤解、憶測などに基づく差別が生じることがあり得る。
マネジャーは、LGBTQであることは本人の代えがたい自我であり、本人の意思で選択したり変更したりすることのできる性質のものではないことを認識し、SOGI(性的嗜好(Sexual Orientation)、性自認(Gender Identify))を含む多様性を尊重し、偏見や差別のない職場の構築に取り組むことが大切である。

<第17問(2点)>

EQ理論(Peter Salovey, John Mayer)では、適切な感情活用を行えば、意図する目標や成果を得るために適切な思考・行動、態度をとることができると提唱されている。
次の①~④のうち、EQ理論が提唱する感情に関する能力の1つである「感情の利用」に関する記述を1つだけ選びなさい。
①感情には、我々が身を置く世界で生じている重要な出来事についての信号である客観的な情報が含まれており、感情は思考を左右する。
そこで、感情を、思考、判断、行動に知的に統合することが重要である。
②感情は、潜在的な原因に基づき生起し、一定の法則に従って変化するという特性がある。
そして、自己や周囲の人がある感情に至った原因やその時の状況を理解し、自分の行動によって相手の感情はどう変化するかを理解することができれば、どのような行動をとるべきかを知ることができ、人とのコミュニケーションを円滑にすることを期待できる。
③同じ仕事をする場合でも、やる気に満ち高揚している状態で臨むのと意気消沈した状態で臨むのとでは、結果が異なることがあるように、人間の思考や行動は、その時に自分がどのように感じているかということに大きく影響を受ける。
何らかの思考をする際に、その思考にふさわしい感情の状態になることができれば、よりよい結果を期待することができる。
④自分自身の感情を正確に認識し表現する能力、およびコミュニケーションの相手や周囲の人の感情を読み取る能力である。
感情は、自分自身や自分の周囲に起こっていることについての信号であり、これを正確に認識することは自身の生存にとって重要なことであり、また、正確に認識した感情を表現することは他者との意思疎通のために重要である。
さらに、他者の感情を適切に認識することは、長江名人間関係を円滑に維持するために重要である。

正解!

不正解...

正解はです。

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<第18問(3点)>

ファイブフォース分析(Michael Porter)では、業界・事業の収益性に影響を及ぼす要因である「新規参入の脅威」、「代替製品・代替サービスの脅威」、「売り手の交渉力」、「買い手の交渉力」、「競合企業との敵対関係」が分析の対象となる。
ファイブフォース分析に関する次の①~⑤の記述のうち、その内容が最も適切でないものを1つだけ選びなさい。
①「新規参入の脅威」が強いと、市場シェアが奪われて収益性を悪化させる要因となる。
新規参入の脅威については、対象とする市場を日本国内に限定した場合であっても、海外から外国の事業shが新規参入する可能性があることも考慮する必要がある。
②「代替製品・代替サービスの脅威」は、例えば、パーソナルコンピュータがスマートフォンにより代替され得るというように、自社製品・サービスと同じ機能を果たし得る他の種類の製品・サービスを考慮の対象とする。
③「売り手の交渉力」とは、業界において自社が製品を製造するための原材料や商品を購入する場合における、当該原材料や部品の供給者の交渉力の強さのことである。
④「買い手の交渉力」とは、業界において自社が製品・サービスを市場に供給する場合における、当該製品・サービスの購入者の交渉力の強さのことである。
⑤「競合企業との敵対関係」に関し、業界内の競争が激しくなる要因として、業界内における競合企業が多いこと、同規模の競合企業が多く存在していること、生産された製品の在庫コストの負担が小さいこと、業界の成長スピードがはやいことを挙げることができる。

正解!

不正解...

正解はです。

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<第19問(3点)>

A社の商品企画部では、自社の新たな事業領域を模索するため、フレームワークであるSWOT分析を活用することとした。
SWOT分析は、「機会」(Opportunities)、「脅威」(Threats)、「強み」(Strengths)、「弱み」(Weaknesses)の4要因を検証し戦略の策定に用いる。
SWOT分析に関する次のア~ウの記述について、その内容が適切であれば①を、適切でなければ②を選びなさい。
ア:SWOT分析により、新たな事業領域を発見し、効率的にA社の収益を拡大するためには、「機会」(Opportunities)と「強み」(Strengths)を検討することが有効であると考えられる。
イ:SWOT分析における自社の外部環境の分析にあたっては、『リソース・ベースト・ビュー』(Jay Barney)におけるVRIO分析が有効に機能すると考えられる。
ウ:SWOT分析における自社の内部環境の分析のうち、経済・財政状況の分析にあたっては、PEST分析における経済情勢(Economics)の分析で得られた分析結果を流用すれば足りる。

  • ア①イ①ウ①
  • ア②イ①ウ①
  • ア②イ②ウ②
  • ア①イ②ウ②

正解!

不正解...

正解はア①イ②ウ②です。

イについて、リソース・ベースト・ビューは、企業はその有する経営資源およびそれを有効に活用することによって競争優位を獲得できるとする考え方である。
そして、リソース・ベースト・ビューにおけるVRIO分析は、「経済的価値」、「稀少性」、「模倣困難性」および「組織」という要素により、企業の有する経営資源等について分析を行うものであり、一般的には、SWOT分析における自社の外部環境の分析を趣旨とするものではない。
ウについて、PEST分析は、ビジネスを取り巻く外部のマクロ要因を分析するためのフレームワークであり、一般的には、自社の内部環境の分析を趣旨とするものではない。
(第8章第3節参照)


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<第20問(3点)>

プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント(Product Portfolio Management: PPM)は、市場成長率と市場シェアを縦と横の軸として4つの象限に区分し、それらの相対的な位置づけに応じて下記の①~④に分類し、とるべき戦略を検討する経営分析手法である。
PPMによれば、次の戦略をとるのが妥当であるとされるものを①~④の中から1つだけ選びなさい。

優位な市場シェアを獲得しているが、市場の成長が見込めないため、積極的に投資をするというよりも追加投資を控えてコストを削減して収益の最大化を目指す。

  • ①花形(Star)
  • ②金のなる木(Cash Cow)
  • ③問題児(Question Mark)
  • ④負け犬(Dog)

正解!

不正解...

正解は②金のなる木(Cash Cow)です。

PPMによれば、「金のなる木」は、優位な市場シェアを獲得しているが、市場の成長が見込めないため、積極的に投資をするというよりも追加投資を控えてコストを削減して収益の最大化を目指す。
ここで得た資金は「花形」や「問題児」に投資するための資金源とする。
(第8章第3節参照)


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<第21問(3点)>

3C分析では、Customer(市場・顧客)、Competitor(競合他社)およびCompany(自社)を分析対象とする。
マネジャーは、3C分析を、競合他社との過剰な競争を避けながら自社の製品・サービスを適切に顧客に提供する方策などを検討するなど、自社事業の推進にあたり採るべき戦略の立案等に役立てることができる。
3C分析に関する次のア~ウの記述のうち、その内容が適切なものを〇、適切でないものを×とした場合の組み合わせを①~⑧の中から1つだけ選びなさい。
ア:社会・経済環境の変化が激しい現代においては、「Cusotmer(市場・顧客)」の分析に時間をかけすぎないことが重要である。
市場・顧客は時の経過により変化するものであり、分析に時間をかけすぎると、分析によって得られた結果と、結果を得た時点における市場・顧客の実態とが適合しないこととなりかねないからである。
イ:「Competitor(競合他社)」の分析の対象として、競合企業における製品開発、製造工程、販路、物流、マーケティング、営業、組織管理手法など、事業に関連するバリューチェーンを挙げることができる。
この分析により、高収益や高効率化を達成した企業の仕組みを知ることができる可能性がある。
ウ:「Competitor(競合他社)」の分析の対象となる情報は、3C分析の対象である「Customer(市場・顧客)」、「Competitor(競合他社)」および「Company(自社)」の中で、最も収集が容易である。
このことから、3C分析を実施するにあたっては、「Company(自社)」の分析を最初に行い、「Customer(市場・顧客)」および「Competitor(競合他社)」の分析は、「Company(自社)」の分析が完了した後に行わなければならない。

  • ア〇イ〇ウ〇
  • ア〇イ〇ウ×
  • ア〇イ×ウ〇
  • ア〇イ×ウ×
  • ア×イ〇ウ〇
  • ア×イ〇ウ×
  • ア×イ×ウ〇
  • ア×イ×ウ×

正解!

不正解...

正解はア〇イ〇ウ×です。

ウについて、3C分析を実施する順番は、「Company(自社)」が最初で「Customer(市場・顧客)」、「Competitor(競合他社)」の分析は、「Company(自社)」の分析が完了した後に行わなければならないとはされていない。
市場において戦略を立案するに際しては、一般的に、次のような順序をあげることができる、
すなわち、市場規模やその動き、顧客層や市場のニーズを理解できなければ、どのような競合が存在するのか、競合にはどのような強みや弱みがあるのかを知ることや、さらに、自社の強みや弱みを知ることが困難となり得るため、最初に「Customer(市場・顧客)」の分析を行うことが考えられる。
次に、当該市場における競合を特定し、「Customer(市場・顧客)」の分析により明確になった市場のニーズや変化等に対し、競合はどのように対応しているのかなど「Competitor(競合他社)」の分析を行う。
そして、「Customer(市場・顧客)」と「Competitor(競合他社)」の分析により明確になった市場および当該市場に対する競合の取り組みに対し、自社としてどのように強みを発揮し、弱みを最小化するかなど「Company(自社)」の分析を行う、といった順である。
(第8章第3節参照)


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<第22問(2点)>

ビジネスを取り巻くマクロ環境の動きを察知して自社の事業に影響を及ぼす要因を整理するフレームワークとして、「PEST分析」がある。
マネジャーは、PEST分析を自社の事業の戦略立案に活用することができる。
次の①~⑤の分析のうち、一般にPEST分析の対象とならないものを1つだけ選びなさい。

  • ①人工知能(Artificial Intelligence: AI)の発達が自社の事業に及ぼす影響
  • ②人口減少と高齢化社会の進行が自社の事業に及ぼす影響
  • ③税制の改正が自社の事業に及ぼす影響
  • ④損益分岐点比率の変化が自社の事業に及ぼす影響
  • ⑤国内総生産(Gross Domestic Product: GDP)の成長率が自社の事業に及ぼす影響

正解!

不正解...

正解は④損益分岐点比率の変化が自社の事業に及ぼす影響です。

PEST分析は、ビジネスに影響を与えるマクロ環境(自社の統制が可能な内部環境(=ミクロ環境)に対し、自社による統制が不可能あるいは困難な外部環境)である政治状況・法制度(Politics)、経済情勢(Economics)、社会環境や一般消費者の動向(Society)および技術に関する状況(Technology)を分析するフレームワークである。
④の「損益分岐点比率の変化」など自社の財務諸表に基づく指標はマクロ環境に属する要因ではない。
(第8章第3節参照)


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<第23問(3点)>

X社では、その主力製品である製品aについて設定された今年度の売上目標(以下、「本件売上目標」という)と、本件売上目標を達成するために策定した業務計画に対する現状における達成の度合いを確認したところ、現状の実績では、本件売上目標を達成するために必要な数値に達しておらず、本件売上目標の達成が困難であるという問題(以下、「本件問題」という)が判明した。
次の①~③の記述は、X社内において、本件問題を解決するために行う事項について検討がなされた際の参加者による発言の一部である。
これらの発言のうち、本件問題を解決するために行う事項に関するものとして最も適切でないものを1つだけ選びなさい。
①「本件売上目標を達成するために設定した計画上の数値に対する未達成の度合いまたは進捗の遅れの現状を正確に把握することにより、『何が問題なのか』、『どこに問題があるのか』、『問題の重要度や大きさはどの程度か』等の事項を明確にすることが可能となります。本件問題を効率的に解決するためには、現状を正確に把握することが重要です。」
②「本件売上目標を達成するために設定した計画上の数値に対する進捗の遅れの真の原因を究明するにあたり、例えば、『大規模自然災害の発生による新規契約数の停滞』や『少子化の影響による契約者数の漸減』など、当社の企業努力では解決できない要因を可能な限り探求し、本件問題が発生するのはやむを得ないことであり、本件売上目標を達成できないことを問題視する必要はないといったマクロの視点を重視することが必要です。」
③「本件問題を解決するための改善計画を実施する過程において、定期的に改善計画の進捗状況の確認を行うことが重要です。進捗状況の確認により本件問題解決の支障となる事象が判明した場合には、その原因を特定し改善計画自体や改善計画遂行のための実施事項の見直しをする必要があります。例えば、改善計画遂行のための実施事項が適切でないことが判明した場合に、進捗状況の確認に基づき早期に適切な方策に改めることによって、無駄なコストを抑制することができ、また、早い段階で改められた当該適切な方策を実施することによる成果の拡大を期待できる。

正解!

不正解...

正解はです。

②について、自社の企業努力では解決できない要因を探求し、本件問題が発生するのはやむを得ないことであり、本件売上目標を達成できないことを問題視する必要はないといったマクロの視点を重視しても、本件問題の解決にはつながらない。
(第9章第4節参照)


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<第24問(2点)>

A社の20X2年度におけるa材製品の販売数量は、100万個であった。次の①~④の記述のうち、この場合にA社の損益計算書から読み取ることができる事項として、その内容が最も適切でないものを1つだけ選びなさい。なお、材料費および販売手数料は変動費として、労務費、人件費、減価償却費および賃料は固定費として算出するものとする。

  • ①A社の20X2年度における損益分岐点比率は、97.6%である。
  • ②A社の20X2年度における損益分岐点売上高は、21960百万円である。
  • ③A社における、a材製品の価格、変動費率および固定費を20X2年度と同一であると仮定した場合、A社が20X3年度の営業利益を300百万円とするためには、20X3年度における売上高を22560百万円に増加する必要がある。
  • ④A社の20X2年度における安全余裕率は、7.6%である。

正解!

不正解...

正解は④A社の20X2年度における安全余裕率は、7.6%である。です。

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24問目の損益計算書

<第25問(3点)>

キャッシュフロー計算書に関する次のア~ウの記述のうち、その内容が適切なものを〇、適切でないものを×とした場合の組み合わせを①~⑥の中から1つだけ選びなさい。
ア:営業活動によるキャッシュフローでは、本業を行った結果、どれだけの現金の増減があったかが表される。
この項目の合計額がマイナスの企業は、本業が順調ではない可能性があると考えることができる。
イ:投資活動によるキャッシュフローでは、固定資産や有価証券などの取得や売却をした時の現金の流れが表される。
新製品の開発のための設備投資への支出や保有する有価証券を売却した場合の収入などが該当する。
ウ:財務活動によるキャッシュフローでは、企業の資金調達等による資金の流れが表される。
例えば、新株を発行したり自己株式を売却して営業資金を調達した場合の資金の増加や、株主への剰余金(配当金)の支払いによる資金の減少などが該当する。

  • ア〇イ〇ウ〇
  • ア〇イ〇ウ×
  • ア〇イ×ウ〇
  • ア×イ〇ウ〇
  • ア×イ×ウ〇
  • ア×イ×ウ×

<第26問(2点)>

マーケティング・ミックス(マーケティングの4P)は、マーケティングのSTPによって策定された戦略を具体的に実施する際の4要素である。これらの4要素を次の①~⑨の中からすべて選びなさい。
①支払い(Payment)
②業務プロセス(Process)
③流通経路(Place)
④特許(Patent)
⑤目的(Purpose)
⑥製品(Product)
⑦価格(Price)
⑧包装(Package)
⑨販売戦略(Promotion)

  • ①②③⑤
  • ③⑥⑦⑨
  • ②⑤⑦⑧

正解!

不正解...

正解は③⑥⑦⑨です。

マーケティング・ミックスは、マーケティングの4Pといわれる製品(Product)、価格(Price)、流通経路(Place)、販売戦略(Promotion)について具体的に戦略を練ることである。
(第11章第1節参照)


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<第27問(2点)>

ドラッカー(Peter Drucker)は、イノベーションの7つの機会として次の①~⑦を示している。イノベーションの7つの機会は、「内部の事象」すなわち企業や公的機関の組織の内部あるいは産業や社会的部門の内部の事象と、「外部の事象」すなわち企業や産業の外部における事象に分類される。「内部の事象」に該当するものを①~⑦の中からすべて選びなさい。
①予期せぬことの生起
②認識の変化
③産業構造の変化
④新しい知識の出現
⑤ニーズの存在
⑥ギャップの存在
⑦人口構造の変化

  • ①②③⑤
  • ③⑥⑦⑨
  • ①③⑤⑤

正解!

不正解...

正解は①③⑤⑤です。

本問に掲げられたイノベーションの7つの機会のうち、「内部の事象」に該当するものは、「予期せぬことの生起」、「ギャップの存在」、「ニーズの存在」、「産業楮の変化」である。
(第11章第2節参照)


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<第28問(3点)>

マネジャーは、常に、担当する業務やプロジェクトに潜むリスクを念頭に置きつつ、そのリスクを極小化するように注意しながら、業務やプロジェクトを推進することが求められる。
マネジャーに求められるリスクマネジメントのプロセスに関する次のア~ウの記述について、その内容が適切であれば①を、適切でなければ②を選びなさい。
ア:組織におけるリスクマネジメントを考える上で想定すべきリスクは多様であり、そのすべてが個々の組織にとって最優先の課題であるとは限らない。
リスクの洗い出しにより、組織のリスクマネジメントにおけるリスクの全体像を把握することによって、リスクの発生確率と発生したときに生じる損失等の規模を算定(以下、「リスクの分析」という)して対応すべきリスクの優先順位を決定することが重要である。
イ:リスクの分析を行った後は、事業の継続という視点から、損失等の発生の未然防止措置やリスク顕在化時の対応等を定めて、リスクの処理を行う。
リスクの処理を実施した後は、一定の期間ごとに、設定したリスクの処理を実施できたか否か、社会環境や経済状況の変化に伴いリスクの処理の見直しを行う必要があるか否かなどを検証する。
ウ:リスクの処理としては、一般に、リスクの顕在化の可能性を提言する「リスクの低減」、リスクを受容する「リスクの保有」、リスクが顕在化する可能性を除去する「リスクの回避」、リスクが顕在化した場合に備え保険等により損失の充当を検討する「リスクの移転」が考えられる。
これらの対応のうち、顕在化の可能性が高く、顕在化した場合の損失が大きいリスクについては、通常、「リスクの保有」が対応策としてとられる。

  • ア①イ①ウ①
  • ア②イ①ウ①
  • ア②イ②ウ②
  • ア①イ①ウ②

正解!

不正解...

正解はア①イ①ウ②です。

ウの「リスクの保有」とは、リスクを受容することである。顕在化の可能性が高く、顕在化した場合の損失が大きいリスクについては、「リスクの回避」や「リスクの低減」といった対策を実施するのが一般であり、「リスクの保有」を対応策とすることは適切とはいえない。
(第12章第1節・第2節参照)


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<第29問(2点)>

マネジャーは、部下をマネジメントするにあたり、各種の労働関連法規について基本的知識を有しておくことが重要である。労働関連法規に関する次のアおよびイの記述について、その内容が適切であれば①を、適切でなければ②を選びなさい。
ア:使用者が労働者に支払う賃金の額については、労働基準法上、最低賃金法の定めるところによるとされている。
そして、最低賃金法上、最低賃金額以上の賃金を支払わない使用者に対する罰則が規定されている。
イ:労働契約法上、使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとされている、

  • ア①イ①
  • ア①イ②
  • ア②イ②
  • ア②イ①

<第30問(過去問)(2点)>

労働安全衛生規則52条の9(心理的な負担の程度を把握するための検査の実施方法)では、事業者は、常時使用する労働者に対し、1年以内ごとに1回、定期に、「職場における当該労働者の心理的な負担の原因に関する項目」、「当該労働者の心理的な負担による心身の自覚症状に関する項目」、「職場におけるほかの労働者による当該労働者への支援に関する項目」について、労働安全衛生法上の心理的な負担の程度を把握するための検査(ストレスチェック)を行わなければならないとされている。
したがって、該当するのは④である。

  • ①職場における指揮命令者の指導能力に関する項目
  • ②業務目標の達成状況に関する項目
  • ③職務の内容が同一であるほかの労働者が受ける賃金と当該労働者の賃金の格差に関する項目
  • ④当該労働者の心理的な負担による心身の自覚症状に関する項目

<第31問(3点)>

次の①~④の記述は、X社製造部製品管理課において、同課内におけるヒューマンエラーの発生を防止するための対策を検討するに際し、列挙された実施事項や注意事項の一部である。
これらの事項のうち、ヒューマンエラーの発生を防止するための事項として最も適切でないものを1つだけ選びなさい。

  • ①作業従事者に対し、作業に関する教育指導を徹底し、作業方法や注意点、トラブルへの対処方法など必要な知識を習得させる。
  • ②複雑な作業については、作業手順を見直したり、作業を補助するツールを導入するなどして、可能な限り、作業を簡易化する等の対策を講じる。
  • ③共同作業を行うメンバー間の信頼を重視し、各自の作業の実施状況についての相互の確認を省略する。
  • ④メモをとったりチェックシートを用いるなどして、行わなければならない作業の失念を防ぐ。

正解!

不正解...

正解は③共同作業を行うメンバー間の信頼を重視し、各自の作業の実施状況についての相互の確認を省略する。です。

③について、業務上の事故発生を防止するという観点からは、共同作業を行うメンバー間において、各自の作業の実施状況について相互の確認を行うことが重要であり、この確認を省略すべきではない。
(第14章第1節参照)


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<第32問(2点)>

<第33問(過去問)(2点)>

電子機器製造販売業を営む甲社の営業部にXと名乗る人物から、「家電量販店の乙店で購入した甲社の電子機器aは、使用を開始した直後に壊れ、作動しなくなった」との電話によるクレームが寄せられ、当該電子機器aの現物を確認したところ欠陥があったため、Xからの返品・返金の要求に応じた。
ところが、Xからの要求はこれに止まらず、甲社営業部あてに、再びXからの電話による要求が入った。
その内容は次のとおりである。

Xは、電子機器aの欠陥以外にXの身体・財産等に損害が拡大していないにもかかわらず、「返金してもらうだけでは納得できない。精神的損害を被らせたことに対し、甲社として社会的責任を果たし誠意を見せろ」と主張し、「ご納得いただける誠意とはどのようなものでしょうか」という甲社の問いに対し「それを真摯に考えるのが誠意だろう」と具体的な回答をしようとしない。

次の①および②の記述は、この状況への対応について甲社営業部で検討した際に、営業部員からなされた発言の一部である。
これらの発言のうち、その内容が適切なものを1つだけ選びなさい。

①「Xの主張するクレームへの対応にあたっては、人間が一般的に有する承認欲求に配慮することが重要です。
すなわち、一般に、人間には他社から理解されたい欲求があり、他者に自己の話を聞いてもらうことで承認欲求が満たされることから、当該クレームへの対応として、当社の経理部など、電子機器aの販売に直接的な関わりのない部署も含め可能な限り多様な部署において、多数の者が交替でXの話に耳を傾けることが重要です。
これにより、Xは、自らの不満を多くの人に何度も吐露することでカタルシス効果(cathartic effect:抑圧された怒りやストレス等を言葉にして表現することで不快な感情が消失する効果)を得ることができ、Xからのクレームの早期の解決に結びつけることができます。」

②「物品や金額を具体的に要求すると恐喝等として告発されるという考えのもと、具体的な要求を示さずに「誠意を見せろ」とあいまいに要求をして、金品を提供させる反社会的な行為が一部には存在します。
こうした要求が執拗になされることを回避するため、当社営業部の経費を管理するマネジャーが、Xの主張の正当性を検証しないまま、Xが満足する額の金銭の支出を、法的根拠もなく、当社営業部の経費で処理すると、たとえマネジャーが『当社が悪質なクレーマーの執拗な不当要求から逃れるためによかれ』という意識で当該処理を行っていたものであったとしても、その処理は、刑法上の背任罪に該当する可能性があり、このような処理を行うべきではありません。
Xがあくまで具体的な要求を言わない場合には、『申し訳ありませんが、お客様のご要望が漠然としており、私どもではわかりかねます。弊社としては、これ以上の対応はいたしかねます』といった趣旨を伝え、以後の対応を打ち切ることも考えられます。」

正解!

不正解...

正解はです。

選択肢①に記載のような対応は、面倒な問題やトラブルを担当者や部署間で押し付けあう、いわゆる「たらい回し」と捉えられる可能性がある。
一般に、顧客が不満を抱いてクレームを申し出ているにもかかわらず、最初の部署から次々に別の部署へと何度も同じ説明をさせられれば、怒りが増すと考えられる。
本問の事例は、悪質なクレームである可能性が高いが、その場合でも、「甲社は、顧客の苦情をたらい回しにし、責任逃れをしようとする会社である」と主張される可能性が生じ得る。
顧客のクレームへの対応に際し、二十クレームに発展する可能性のある「たらい回し」は行うべきではない。
(第14章第3節参照)


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<第34問(2点)>

X社の営業課長であるAは、自社の協力会社であるY社に信用不安があるとの風評を同業他社との会合で聞き知った。
そこで、早急に関係部署等と連携をとり、事実を確認するため、Y社の信用調査を行うこととした。
次の①~④の記述は、Y社に対する信用調査に関する記述である。
これらの記述のうち、その内容が最も適切でないものを1つだけ選びなさい。

  • ①Y社の信用状況の調査は、Y社の経営者との面談やY社から提供された財務資料等を基に行う直接的調査や、民間信用調査機関を通じて行う間接的調査等により行うことができる。
  • ②一般に、企業の信用状況の悪化の兆候として、例えば、役員の大幅な変更、株主構成の変化、未払い債務の急増、支払い条件の変更の申出などを挙げることができる。Y社にこうした事象が確認できる場合、X社は、Y社に対する債権管理の徹底、債権回収手段の確認・検討等のほか、協力会社の変更などを検討しておく必要がある。
  • ③Y社の財務上の収益性の分析、すばわちY社がどのくらい利益を獲得することができるのかについての分析は、Y社の財務諸表に基づき、固定比率や借入金依存度、負債比率等の比率やPBR(株価純資産倍率)等の分析によって行うことができる。
  • ④Y社の財務上の安全性の分析、すなわち債権者に対する支払能力についての分析は、一般的には、Y社の財務諸表に基づき、自己資本比率、流動比率、当座比率、固定長期適合率等の比率分析によって行うことができる。

正解!

不正解...

正解は③Y社の財務上の収益性の分析、すばわちY社がどのくらい利益を獲得することができるのかについての分析は、Y社の財務諸表に基づき、固定比率や借入金依存度、負債比率等の比率やPBR(株価純資産倍率)等の分析によって行うことができる。です。

③について、固定比率や借入金依存度、負債比率等の比率は、一般的には、財務上の収益性の分析ではなく、債権者に対する支払能力について分析する際に用いられる。
また、PBRは、一般に、財務上の収益性の分析ではなく、投資に際して株価が割高か割安かを判断する際に用いられる指標だとされている。
(第14章第5節参照)


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<第35問(2点)>

不動産販売業を営むX社の総務課長Aは、同社法人営業部の営業課長より、「これまで取引をしたことのないY社から取引を持ち掛けられた。
営業課としては、Y社から市場価値の高い物件が妥当な価格で提供されるため、Y社と契約を締結したいと考えている。
ただ、新規取引先との契約となるため、社内規定に基づきY社の調査を依頼したい」との連絡を受けた。
AがY社の信用調査を調査会社に委託したところ、調査会社から、Y社が反社会的勢力である疑いがあるとの報告を受けた。
そこで、Aは、Y社が反社会的勢力であるか否かについて情報提供を受けることを含め、Y社との取引の可否について検討した。
この場合に関する次のアおよびイの記述について、その内容が適切であれば①を、適切でなければ②を選びなさい。
ア:「暴力団排除等のための部外への情報提供について」(平成25年12月19日付警察庁通達。以下、「警察庁通達」という)においては、暴力団情報の提供については、個々の警察官が依頼を受けて個人的に対応することが認められている。
したがって、Aが、知り合いの警察官に照会をすることにより、Y社が反社会的勢力に該当するか否かを確認することができる。
イ:警察庁通達においては、警察は、事業者等からの照会対象者が反社会的勢力に該当する場合には、詳細な前科・前歴情報や顔写真を提供することができるとされている。
したがって、Y社が反社会的勢力に該当する場合、Aは、反社会的勢力との取引を避けるために必要であるとして、警察から、Y社代表取締役の前科・前歴情報と顔写真の提供を受けて、当該情報をX社内に周知する必要がある。

  • ア①イ①
  • ア①イ②
  • ア②イ②
  • ア②イ①

正解!

不正解...

正解はア②イ②です。

ア、イはいずれも適切ではない。
アについて、「暴力団排除等のための部外への情報提供について」(平成25年12月19日付警察庁通達。以下、「警察庁通達」という)は、暴力団情報の提供については、個々の警察官が依頼を受けて個人的に対応するということがあってはならず、必ず、提供の是非について、所定の手続きの下、警察本部の暴力団対策主管課長または警察署長の責任において組織的な判断を行うこととされている。
イについて、警察庁通達では、「前科・前歴情報は、そのまま提供することなく、被害者等の安全確保のために特に必要があると認められる場合に限り、過去に犯した犯罪の態様等の情報を提供すること。
また、顔写真の交付は行わないこと」とされている。
(第14章第4節参照)


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<第36問(2点)>

X社総務課のAは、同社製造課長Bから、労働者災害補償保険法(労災保険法)に関し、次のような質問を受けた。

a. アルバイトとして当社で就業している者が業務上の災害に遭った場合には、労災保険法に基づく保険給付の対象となるのか
b. 当社の労働者が通勤途上において、通常利用している通勤経路を移動中に交通事故に遭い負傷した場合、当該負傷は、労災保険法に基づく保険給付の対象となるのか

次のアおよびイの記述は、Bの質問に対するAの回答である。
アおよびイの回答について、その内容が適切であれば①を、適切でなければ②を選びなさい。

ア:「労災保険法が適用される事業においては、雇用形態、勤続年数などを問わず、原則としてアルバイトやパートタイマーなども労災保険の適用の対象となります。
したがって、質問aの場合には、原則として、労災保険法に基づく保険給付の対象となります。」
イ:「労災保険制度は、業務上の事由による労働者の負傷、疾病、傷害、死亡等に対して必要な保険給付を行うことを目的としていますが、業務外の事由による災害については保険給付の対象としていません。
したがって、質問bの場合のような、通勤による労働者の負傷等は、労災保険法に基づく保険給付の対象とはなりません。」

  • ア①イ①
  • ア①イ②
  • ア②イ②
  • ア②イ①

正解!

不正解...

正解はア①イ②です。

イについて、労働者災害補償保険は、業務上等の事由または通勤による労働者の負傷、疾病、傷害、死亡等に対して迅速かつ公正な保護をするため、必要な保険給付を行うこと等により、労働者の福祉の増進に寄与することを目的とするものである。
したがって、通勤による労働者の負傷等は、労災保険法に基づく保険給付の対象とはならないとするイは適切ではない。
(第13章第5節参照)


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<第37問(2点)>

社内不正等への対応に関する次の①~④の記述のうち、その内容が最も適切なものを1つだけ選びなさい。
①懲戒処分が相当であるといえるためには、過去になされた同様の案件の懲戒処分と比較し、その内容が極端に重くないことが必要である。
②普通解雇は、一般に、労働者の業務遂行能力や適格性の欠如、勤務態度の不良、疾病等による労働不能などにより、雇用の継続が困難になった場合になされる解雇である。
普通解雇に際して、使用者は、原則として、退職金を支給しなければならないが、解雇予告や解雇予告手当の支払いをする必要はない。
③懲戒解雇は、一般に、犯罪行為や服務規則違反行為などにより企業秩序を著しく乱した労働者に対する制裁罰として行われる処分である。
労働基準法上、使用者は、懲戒解雇の対象となる労働者に対しては、退職金を支給してはならない。
④使用者は、労働者の不正行為を抑止するため、労働契約の締結に際し、例えば「労働者が労働契約に反し不正行為をした場合、労働者は、違約金として会社に対し300万円を支払うものとする」と定めるなど、違約金の額を明確に定めておくべきである。

正解!

不正解...

正解はです。

②について、労働基準法上、使用者は、労働者を解雇する場合は、原則として、解雇予告をするか解雇予告手当の支払いが必要である。
これに対し、退職金の支給は義務付けられていない。
③について、労働基準法上、使用者が、懲戒解雇の対象となる労働者に対して退職金を支給することは禁止されていない。
④のような違約金の定めをあらかじめすることは、労働基準法違反となるおそれがある。
(第13章第1節参照)


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<第38問(2点)>

消費者と事業者との間には、その有する情報の質や量、交渉力に格差がある。
消費者契約法は、こうした状況を踏まえて消費者の利益を保護することを趣旨とする法律である。
消費者契約法に関する次のアおよびイの記述について、その内容が適切であれば①を、適切でなければ②を選びなさい。
ア:消費者契約において、事業者の債務不履行により消費者に生じた損害を賠償する責任の全部を免除する条項が定められている場合、当該消費者契約は無効となる。
イ:消費者契約法は、事業者が消費者に商品を販売する契約のみならず、事業者が消費者に役務を提供する契約にも適用される。

  • ア①イ①
  • ア①イ②
  • ア②イ②
  • ア②イ①

正解!

不正解...

正解はア②イ①です。

アについて、消費者契約において、事業者の債務不履行により消費者に生じた損害を賠償する責任の全部を免除する条項が定められている場合、当該条項は無効となるが、当該消費者契約全体が無効となるわけではない。
(第13章第1節参照)


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<第39問(3点)>

企業を取り巻く環境には、事業の継続を阻害する要因となるリスクが数多く存在し、感染症の流行もそうしたリスクの1つである。
マネジャーは、感染症のリスクが顕在化した際に、事業を継続させ企業を存続させるための活動に尽力することが求められる。
このような活動に関する参考となる資料の1つとして、厚生労働省健康局策定の「感染症健康危機管理実施要領」を挙げることができる。
次のア~エの記述のうち、感染症健康危機管理実施要領において「感染症対策における危機管理の基本的心得」として挙げられている事項に該当しないものの個数を①~⑤の中から1つだけ選びなさい。
ア:感染症の危機管理にあたっては、社会全体へのリスク(健康被害を及ぼす可能性とその大きさ)を評価し、リスクコミュニケーション(リスクおよびその管理手法について双方向的に意見交換すること)を行い、リスク認識(リスクの受け止め方)を共有しつつ、必要かつ十分なリスク管理(リスクを可能な限り低減し受容可能なレベルにすること)を行うよう努めるものとする。
イ:感染症は、ひとたび発生して拡大すれば個人の健康のみならず社会全体に深刻な影響を及ぼすおそれがあることに留意する。
ウ:ひとたび感染症が発生した場合は、迅速な初動対応が拡大防止の第一要件である。
そのため、日頃から発生状況の把握と情報分析等を通じた対応の事前準備に努めるものとする。
エ:職場における感染症の危機管理にあたっては、職場の長が感染症に罹患することは許されない。
そのため、職場の長は、仮に感染症に罹患したとしても、職場全体へのリスク(指揮命令機能の不全が及ぼす可能性とその大きさ)を評価し、感染症に罹患したことを職場に部下に悟られないようコミュニケーション(発熱等により体調が不良であっても平静を装い部下と意見交換すること)を行うよう努めるものとする。

  • ①0個
  • ②1個
  • ③2個
  • ④3個
  • ⑤4個

正解!

不正解...

正解は②1個です。

ア・イ・ウは該当する。
エについて、誰でも感染症への罹患のリスクはあり、職場の長といえども感染症に罹患することが許されないものではない。
職場の長が感染症に罹患した場合にそれを悟られないように部下と意見交換することは、部下への感染のリスクの観点から適切ではない。
(第16章第1節参照)
https://bijimane.online/webtext-16th/

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<第40問(3点)>

自然災害は、企業活動に重大な影響を及ぼし得る。
マネジャーには、企業の策定した災害への対応方針に基づき、日頃からその備えの一端を担うことが求められる。
次のア~オに掲げる事項のうち、企業における自然災害発生への備えとして適切なものの組み合わせを①~⑤の中から1つだけ選びなさい。
ア:災害発生後に事業を復旧させるために要する費用の一部に充てるため、あらかじめ毎月、全従業員から賃金の一部を強制的に天引きして積み立てる。
イ:事業継続の観点から、顧客が来店しまたは施設内に留まることが想定される業種であっても、災害発生時に最も優先すべき事項は当該企業の役員の生命の安全確保であり、次いで、顧客の生命の安全確保、最後に従業員、下請事業者の生命の安全確保である。
このため、災害時の避難要領に関するマニュアルには、生命の安全確保措置を講ずる対象の順位を明確に記載する。
ウ:電子データを含む重要情報については、同一の災害により同時に被災することを回避できる場所への保管、バックアップシステムの構築などの対策を講じる。
エ:災害の発生時に、製品の原材料や部品の供給元の被災状況が早期に把握できる体制を整備する。
オ:周辺地域等の安全確保の観点から、自然災害発生時における、建築物等の倒壊や火災による炎症などの二次災害防止のための措置をあらかじめ講じておく。

  • ①アイウ
  • ②アイエ
  • ③アウオ
  • ④イエオ
  • ⑤ウエオ

正解!

不正解...

正解は⑤ウエオです。

アについて、従業員から賃金の一部を強制的に天引きする行為は、労働基準法違反となり得る。
イについて、顧客が来店しまたは施設内に留まることが想定される業種において、災害発生時に、顧客の生命の安全確保よりも、企業の役員の生命の安全確保を優先することは適切とはいえない。
(第12章第4節,第13章第3節,第16章第3節参照)


第13章 職場におけるリスクマネジメント
ビジネスマネジャー検定 WEBテキストです。ビジネスマネジャー検定に合格するための必須学習項目を無料で公開しています。第13章では職場におけるリスクマネジメントについて解説しています。

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